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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻11号

2015年10月発行

文献概要

症例報告

サイトメガロウイルス食道炎を併発した高齢の落葉状天疱瘡の1例

著者: 福島彩乃1 森本亜里1 山上淳1 谷川瑛子1 大森泰2 林雄一郎3 天谷雅行1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部内視鏡センター 3慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.821 - P.826

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要約 79歳,男性.前医で落葉状天疱瘡と診断され,難治のため当科を紹介された.プレドニゾロン50mg/日とアザチオプリン100mg/日の内服,ステロイドパルス療法,血漿交換を行い病勢を制御した.その後,嚥下痛,胸痛,汎血球減少が出現し,経口摂取不能になった.内視鏡所見では食道粘膜全周に白苔を付すびらんが多発し,感染性食道炎や尋常性天疱瘡への移行による粘膜病変が考えられたが,内視鏡肉眼的所見のみでは鑑別が困難であった.血液検査でサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)アンチゲネミアが陽性化し,生検標本の免疫染色でCMV陽性細胞を認め,CMV食道炎と診断した.特に高齢の自己免疫疾患の治療に伴う免疫不全患者で嚥下痛をみた場合,CMV食道炎を疑う必要がある.水疱症と鑑別し,重篤化を防ぐために早期の内視鏡検査,病理組織検査と免疫染色による精査が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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