icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻11号

2015年10月発行

文献概要

症例報告

治療に難渋した抗BP180型粘膜類天疱瘡の1例

著者: 小野寺信江1 水芦政人1 萩原彰子1 加賀谷早織1 沼田郁子1 菊地克子1 相場節也1 古賀浩嗣2 橋本隆2

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科学教室 2久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.827 - P.830

文献購入ページに移動
要約 68歳,男性.2011年4月頃より口腔内にびらんが出現し,顔面や下肢にも時々水疱が出現するようになった.蛍光抗体直接法では表皮基底膜部にIgG,IgAの沈着を認め,1M食塩水剝離ヒト皮膚を用いた蛍光抗体間接法ではIgAが表皮側に陽性であった.免疫ブロット法ではBP180C末端部位および120kDa LAD-1にIgG,IgAともに反応を示した.プレドニゾロンなどの内服では症状の改善がみられず,二重膜濾過血漿交換療法やシクロスポリン含嗽,γグロブリン大量療法を施行した.経過中に胸腰椎多発圧迫骨折,サイトメガロウイルス腸炎などを発症したためステロイドを漸減し,ジアフェニルスルホンを併用した.抗BP180型粘膜類天疱瘡のうち,IgG,IgAの両抗体を有するBP180/LAD-1のタイプは重症であるとの報告があることから,自験例は治療抵抗性を示したと考える.

参考文献

1) 橋本 隆:最新皮膚科学大系,6巻,中山書店,p105, 2002
2) Chan LS, et al:Arch Dermatol 138:370, 2002
3) Zillikens D, et al:Arch Dermatol 131:957, 1995
4) 橋本幸子,他:皮膚 41:337, 1999
5) 飯田 実,他:喉頭 17:30, 2005
6) Dainichi T, et al:Eur J Dermatol 15:189, 2005
7) 中島静香:日アフェレシス会誌 27:128, 2008
8) 廣川景子,他:日皮会誌 122:2097, 2012
9) 西脇 薫,他:皮膚病診療 34:843, 2012
10) 青木奈津子,他:西日皮膚 74:460, 2012
11) Gooptu C, et al:J Am Acad Dermatol 38:860, 1998
12) Munyangango EM, et al:Br J Dermatol 168:381, 2013
13) 越後岳士,他:日皮会誌 122:2647, 2012
14) Oyama N, et al:Br J Dermatol 154:90, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?