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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻12号

2015年11月発行

症例報告

ステロイド長期内服患者に生じた皮下深部解離性血腫の2例

著者: 栗山幸子1 兼子泰一1 太田悠介2 糟谷啓1 青島正浩1 池谷茂樹1 深水秀一2 戸倉新樹1

所属機関: 1浜松医科大学病院皮膚科 2浜松医科大学病院形成外科

ページ範囲:P.902 - P.906

文献概要

要約 症例1:54歳,女性.SLEのためステロイドを28年間内服していた.軽微な打撲を契機に右下腿が腫脹し,激痛を伴ったため救急外来を受診した.CTにて巨大な皮下血腫を認め,皮下深部解離性血腫と診断した.翌日まで圧迫し経過をみたが,血腫は増大し続け,緊急血腫除去術を要した.症例2:64歳,女性.水疱性類天疱瘡のため7年間ステロイドを内服していた.明らかな受傷機転はないが,起床時に左足関節周囲の発赤と腫脹,疼痛を自覚したため,当科を受診した.CTにて厚さ3cm程度の皮下血腫を認め,皮下深部解離性血腫と診断した.圧迫と止血剤の内服を開始したところ,血腫は徐々に縮小した.皮下深部解離性血腫はdermatoporosisの臨床像の中で最も重症とされる.特にステロイド長期内服中などdermatoporosisが疑われる患者において,急激な四肢の腫脹,疼痛をきたす疾患として本症を鑑別に挙げる必要がある.

参考文献

1) Kaya G, Saurat JH:Dermatology 215:284, 2007
2) Kaya G, et al:Arch Dermatol 144:1303, 2008
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8) Mercieca K, et al:Eye (Lond) 24:1770, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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