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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻12号

2015年11月発行

文献概要

症例報告

左上腕の紅色腫瘤で発症したALK陽性全身型anaplastic large cell lymphomaの1例

著者: 八木夏希1 中尾将治1 筒井清広1 青木剛2 杉盛千春2 金原拓郎3

所属機関: 1石川県立中央病院皮膚科 2石川県立中央病院血液内科 3金原皮膚科

ページ範囲:P.949 - P.953

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要約 32歳,男性.初診6か月前に左上腕に紅色腫瘤が出現,徐々に増大した.抗菌薬治療で改善せず,さらに増大,表面にびらんを伴うようになった.初診時,40×40mmのドーム状に隆起した紅色腫瘤を認め,びらん,壊死を伴った.皮膚生検標本で真皮浅層から皮下組織に中型,大型の異型リンパ球が密に増殖し.その形質はCD3,CD4,CD30,ALK,granzyme Bが陽性.PET-CTで左上腕の腫瘍および左腋窩リンパ節,左鎖骨下リンパ節に集積を認めた.ALK陽性全身型anaplastic large cell lymphoma(ALCL)と診断し,CHOP療法6クールを開始した.CHOP療法1クール終了後,左腋窩のリンパ節病変は著明に縮小し,左上腕の紅色腫瘤は消失,胡桃大の潰瘍を残すのみとなった.治療開始2か月後に上皮化した.地固め療法として放射線照射を追加,治療終了後のPET-CTで異常集積はみられなかった.4か月後,再発はない.臨床像からのALK発現の推測は難しく,治療反応性,予後の観点からも,全身型ALCLと診断した際にはALKの発現検索は必須と考えた.

参考文献

1) Stein H, et al:Blood 96:3681, 2000
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3) 森下明博,他:日臨細胞会神奈川会誌 14:45, 2009
4) 朴 永東,他:臨床血液 45:1193, 2004
5) 磯部泰司,他:医学のあゆみ 235:510, 2010
6) 工藤慶太,他:Prog Med 31:2325, 2011
7) Kwak EL, et al:N Engl J Med 363:1693, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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