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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻13号

2015年12月発行

文献概要

症例報告

皮膚潰瘍を呈し診断に苦慮した悪性関節リウマチの1例

著者: 紙谷祐衣1 平山真帆1 岸田功典1 林和人1 長谷哲男1 青木昭子2 横内麻里子3

所属機関: 1東京医科大学八王子医療センター皮膚科 2東京医科大学八王子医療センター総合診療科 3東京電力病院

ページ範囲:P.1015 - P.1020

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要約 44歳,男性.1988年から原因不明の多発関節炎があり,1999年から下肢に皮膚潰瘍が生じていた.他院で精査も診断確定せず,プレドニゾロンとアスピリン内服で治療されていた.2013年1月当院受診時,多発関節炎,右第Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ趾の潰瘍,手足の皮膚硬化とチアノーゼ,両下肢の網状皮斑,右足拇指側の単神経炎が認められた.生理検査で血行障害は認められず,抗核抗体は陽性も,RF,抗CCP抗体は陰性であった.X線では関節症状のある部位に関節破壊の所見があり,画像上は関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に矛盾しなかった.下肢網状皮斑からの生検組織では血管炎が認められた.以上より,悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis:MRA)と診断した.診断に苦慮したが,診断確定後,インフリキシマブの点滴静注で関節症状,皮膚潰瘍は略治した.RAの新しい診断基準には合致しなかったものの(旧診断基準には合致),画像所見や病理組織像からMRAと診断できたことにより,患者のQOLを著明に改善することができた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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