文献詳細
文献概要
症例報告
高齢者の前腕に出現したグロムス腫瘍の1例
著者: 泉映里1 石橋正史1
所属機関: 1日本鋼管病院皮膚科
ページ範囲:P.1053 - P.1056
文献購入ページに移動要約 87歳,女性.5年前より右前腕に腫瘍が出現し,徐々に増大した.初診時,12×10×5mmのドーム状に隆起する紫色調の結節を認め,圧痛を伴った.局所麻酔下に摘出した腫瘍の病理組織学像では,腫瘍は拡張した血管と円形の均一な核を有す腫瘍細胞で構築されており,免疫染色にてα-平滑筋アクチン,ビメンチン陽性,デスミン陰性であった.以上の臨床像と病理組織像からグロムス腫瘍と診断した.単発性のグロムス腫瘍は一般的には若い成人の爪下部に好発するとされており,自験例は発症年齢と部位とも比較的稀な症例と思われた.また,過去の75歳以上の後期高齢者における本邦報告14例について検討したところ,爪甲発症は1例のみで,その他は爪甲外発症であった.高齢者では若年者と異なり,爪甲外に発症しやすい傾向があることが示唆された.
参考文献
1) 森下玲子:現代皮膚科学大系 10巻,中山書店,p50, 1980
2) 富永晃広,他:皮膚臨床 40:785, 1998
3) 西本一栄,他:皮膚臨床 30:704, 1988
4) Schiefer TK, et al:Mayo Clin Proc 81:1337, 2006
5) 山本真佐子,他:皮膚臨床 41:783, 1999
6) 安齋眞一,他:臨皮 54:547, 2000
7) 川浦菊美,他:臨皮 54:920, 2000
8) 樋口実穂,他:皮膚臨床 44:1527, 2002
9) 吉田佐保,他:皮の科 3:582, 2004
10) 河野浩万,他:Otol Jpn 15:166, 2005
11) 八木絵里子,他:臨皮 60:463, 2006
12) 山下史記,他:皮の科 6:150, 2007
13) 村上慶洋,他:日内視鏡外会誌 14:81, 2009
14) 浅川絵理,他:皮膚臨床 51:933, 2009
15) 小川 恩,他:皮膚臨床 52:486, 2010
16) 松本悠子,他:臨皮 64:875, 2010
17) 河村さやか,他:日鼻科会誌 51:109, 2012
18) 藤田真由美,他:皮紀 86:439, 1991
19) Holtzer H, et al:Cold Spring Harb Symp Quant Biol 46:317, 1982
掲載誌情報