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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻2号

2015年02月発行

文献概要

症例報告

尋常性膿瘡と肺動脈塞栓症を合併した汎発性膿疱性乾癬の1例

著者: 安見真希1 在田貴裕1 池本千花1 横瀬千美1 山本祐理子1 飯田沙織1 奥沢康太郎1 峠岡理沙1 益田浩司1 加藤則人1

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学

ページ範囲:P.109 - P.114

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要約 68歳,男性.近医でアトピー性皮膚炎と診断されステロイドの外用を継続していた.初診の1か月前より紅斑が拡大したため,ベタメタゾン3mg/日の内服とクロベタゾールプロピオン酸エステル外用を開始したが改善に乏しく当科を受診した.初診時,体幹,四肢に膿疱,鱗屑を伴う紅斑を認めた.生検にて表皮内に好中球の集積からなる微小膿瘍の形成を認めた.膿疱性乾癬と診断し,外用療法を継続しながらエトレチナート30mg/日の内服を開始し皮疹は改善しつつあった.しかし,初診から18日目に顔面に多発する牡蠣殻状の痂皮と突然の呼吸苦を認めた.皮疹の培養検査より黄色ブドウ球菌が検出され尋常性膿瘡を併発した原因としてステロイド外用による細菌感染が考えられた.造影CT検査から左下肢深部静脈血栓症,肺動脈塞栓症の合併が明らかとなった.肺動脈塞栓症の原因となる下肢静脈血栓などの心血管系疾患と乾癬の関与は近年報告されており,乾癬では包括的な治療が必要であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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