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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻3号

2015年03月発行

文献概要

症例報告

抗BP180抗体が著明に高値で一時的に血漿交換療法が奏効した水疱性類天疱瘡の1例

著者: 安達明子1 杉浦一充1 秋山真志1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.203 - P.207

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要約 76歳,男性.初診3か月前,全身に掻痒と下肢紅斑が生じ,1週間前,全身に紅斑が拡大し,水疱が多発した.臨床所見,病理組織像より,水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)と診断した.プレドニゾロン(PSL)1.2mg/kg/日にても病勢を抑制できず,単純血漿交換療法を計4回施行した.いったん新生水疱と紅斑は著しく消退し,皮疹の改善と連動して抗BP180抗体価と好酸球数,血清IgE値の低下を認めた.しかし,2か月後,皮疹が再燃,各種検査値も再上昇を認めたため,PSLを増量(0.8mg/kg/日)した.その後,皮疹の新生はなかったものの,肺真菌症,肺サイトメガロウイルス感染症,MRSA菌血症による敗血症性ショックをきたし,初診から6か月後,永眠した.抗BP180抗体価が著明に高値な水疱性類天疱瘡に対して,一時的に単純血漿交換療法が有用であった.重症なBPにおいて抗BP180抗体,血清IgE値,好酸球が病勢評価となりうることが考えられた.

参考文献

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14) 山中新也,他:皮膚臨床 55:837, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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