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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻3号

2015年03月発行

文献概要

症例報告

臍部の感染を契機に発見された尿膜管遺残症の1例

著者: 小谷晋平1 大森麻美子1 小坂博志1 小川真希子1 長野徹1 松岡崇志2 川喜田睦司2 今井幸弘3 繁益弘志4

所属機関: 1神戸市立医療センター中央市民病院皮膚科 2神戸市立医療センター中央市民病院泌尿器科 3神戸市立医療センター中央市民病院病理診断科 4はんやく皮フ科クリニック

ページ範囲:P.230 - P.234

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要約 32歳,男性.前日から急激に増強した臍部痛のため近医皮膚科を受診した.臍部痛と悪臭ある膿汁を認めたため,同院にてセフカピペンピボキシル,1回100mg,1日3回を約1週間投与されたが,改善傾向なく当科を紹介され受診した.初診時の採血ではWBC 9.4×103/μl,CRP 0.44mg/dlであり,炎症反応の上昇は軽度であったが,臍部痛と同部からの膿汁排出は持続していた.嫌気性菌の可能性を疑い,抗生剤をレボフロキサシン,クリンダマイシンに変更し継続したが,排膿は増加し,安静時・排尿時の疼痛も認めるようになった.腹部造影CTで臍部から膀胱頂部に連続する索状物を認め,臍部の皮膚生検病理組織像でも炎症性肉芽腫性変化を認めたため,尿膜管遺残と診断した.その後,当院泌尿器科にて切除した.尿膜管遺残症は外科や泌尿器科,小児科では決して珍しい疾患ではないが,皮膚科医が遭遇するケースも稀ならずあると考えられる.臍部の炎症性腫瘤を見た場合は,本症も念頭に置いて診察することが重要と思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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