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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻3号

2015年03月発行

文献概要

症例報告

イヌ咬傷で生じた皮膚Mycobacterium chelonae感染症の1例

著者: 石田修一1 山口由衣1 野崎由生1 岡田里佳1 侯建全1 相原道子1

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.239 - P.242

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要約 42歳,女性.初診の2か月半前に飼いイヌに右手背を咬まれ,その後,同部に出現した紅斑が徐々に拡大し,硬結を認めるようになったため受診した.病理組織像で真皮に肉芽腫性炎症を認めた.組織のZiehl-Neelsen染色,PAS染色は陰性であったが,培養にて抗酸菌が陽性であり,DNA-DNA hybridization法によりMycobacterium chelonaeと同定した.クラリスロマイシンで治療開始したが改善せず,レボフロキサシンとアミカシンを追加投与し温熱療法を併用した.皮疹は徐々に改善傾向を示したが,紅斑が消失しないため外科的切除を施行し,治癒した.動物咬傷後の皮膚M. chelonae感染症の報告は稀であるが,動物咬傷後に遷延する皮膚病変が出現した場合は本症も念頭に置く必要があると考えた.

参考文献

1) 渡辺晋一,他:皮膚感染症のすべて,南江堂,p170, 2009
2) 高嶋哲也,他:日臨微生物誌 15:135, 2005
3) Gruffuth DE, et al:Am J Respir Crit Care Med 175:367, 2007
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5) 奥村陽子,他:皮膚臨床 54:365, 2012
6) 塩田剛章,他:臨皮 66:639, 2012
7) 藤川大基,他:臨皮 65:695, 2011
8) 石井良和:日化療会誌 59:454, 2011
9) 清水彩子,他:皮膚臨床 54:476, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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