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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻3号

2015年03月発行

文献概要

症例報告

ネコ咬傷後に発生したPasteurella multocida皮膚感染症の1例

著者: 國行秀一1 松村泰宏1 平田央1 前川直輝1

所属機関: 1大阪市立総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.243 - P.247

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要約 60歳,男性.2型糖尿病がある.野良ネコに下腿後面を咬まれた.近医を受診し,処方された抗菌薬を服用したが,疼痛が増強したため,抗菌薬服用と受診加療を自己中断した.その後さらに,発赤腫脹と疼痛が増強し,歩行障害も生じたため,当科を紹介され受診した.MRI検査で下腿後面皮下の液貯留像およびヒラメ筋の炎症像がみられた.入院を拒絶されたため,外来通院で局所の切開排膿,洗浄処置,アモキシシリン・アジスロマイシンの内服治療を行った.同部の乳白色膿からPasteurella multocidaが分離され,抗菌剤全般に良好な感受性を示した.抗菌療法および排膿・洗浄処置により,末梢血白血球数やCRPは短期間に低下し,発赤腫脹と歩行障害は軽快した.アキレス腱部皮膚に軽度の突っ張り感が残存したが,咬傷受傷93日後に略治した.アキレス腱周辺部の発症例では歩行障害などの後遺症に注意が必要と考えられた.

参考文献

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10) 細田智弘,他:感染症誌 87:211, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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