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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻4号

2015年04月発行

今月の症例

肥満女性に生じたelephantiasis nostras verrucosaの1例

著者: 小原芙美子1 漆畑真理1 関東裕美1 鷲崎久美子1 石井健1 武田朋子2 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座 2東京都

ページ範囲:P.270 - P.274

文献概要

要約 59歳,女性.13年前から両下肢浮腫を認め,2年前より下腿蜂窩織炎を繰り返していた.2012年4月末より両下腿に掻痒を認め,掻破を繰り返した後に発赤・腫脹が出現した.細菌感染を恐れて入浴せず放置し,症状が増悪したため,5月中旬に当院を受診した.BMI 48という肥満体型であり,両下腿に白色調の角化性局面を認め,足関節周囲には悪臭を伴う不良肉芽が疣状隆起して局面を形成していた.病理組織像は,表皮は偽癌性増殖を呈し,真皮浅層に浮腫,乳頭層に脈管増生,真皮浅・中層および脈管周囲に炎症細胞浸潤を認めた.臨床および病理組織像よりelephantiasis nostras verrucosaと診断した.自己処置不能であったことから入院とし,局所洗浄・サリチル酸ワセリン®外用・弾性包帯の圧迫の継続により,症状の軽快・再発を繰り返しながら皮疹は平坦化した.病識のなさや自己管理不足が難治の原因と考えられ,生活指導が課題である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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