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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻4号

2015年04月発行

症例報告

Warty dyskeratomaの1例

著者: 小林紘子1 米原修治2 田中麻衣子3 森本謙一1

所属機関: 1尾道総合病院皮膚科 2尾道総合病院病理科 3広島大学病院皮膚科

ページ範囲:P.287 - P.290

文献概要

要約 60歳,男性.右頸部に皮下結節があり,徐々に増大した.母指頭大の皮下結節に紅斑を伴っていたため,感染性粉瘤の疑いで抗生剤内服した後,全摘術を施行した.病理組織では,表皮から連続して真皮内に複数の囊腫構造を認め,囊腫壁の一部には顆粒層を伴う正常表皮構造が残存していた.深部では絨毛状に増殖する基底細胞様の細胞が基底層直上で棘融解を生じていた.円形体や顆粒体などの異常角化細胞もみられたことから病理組織学的にwarty dyskeratoma(WD)と診断した.WDは臨床的には中心臍窩を有する丘疹あるいは結節であるが,全体としては特徴のない小腫瘍で,粉瘤,脂漏性角化症などと診断されることが多く,臨床のみで診断をつけるのは難しい疾患である.WDは稀な疾患ではあるが,その特徴的な組織像から診断可能であるため,WDの組織像を知っておくことが必要と考えた.

参考文献

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11) 木村俊次:臨皮 41:699, 1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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