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増刊号特集 最近のトピックス2015 Clinical Dermatology 2015 2.皮膚疾患の病態
一次刺激性接触皮膚炎—腸性肢端皮膚炎のプロトタイプとして
著者: 川村龍吉1
所属機関: 1山梨大学医学部皮膚科学講座
ページ範囲:P.38 - P.42
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われわれ皮膚科医が日々の診療において最も多く遭遇する皮膚疾患は湿疹であるが,その病態の本質は外界物質による一次刺激性接触皮膚炎(irritant contact dermatitis:ICD)であると考えられている.近年の自然免疫学研究の飛躍的な進歩に伴い,皮膚疾患の中で最も基本的な自然免疫応答であるICDの病態解明も急速に進みつつあるが,一方で,長らくその病因が不明であった亜鉛欠乏に伴う皮膚炎(腸性肢端皮膚炎)の本態がICDであることが最近明らかになった.世界で約20億人存在するといわれる亜鉛欠乏者をICDが起こりやすい人々の一群としてとらえることによって,あるいはICDを腸性肢端皮膚炎のプロトタイプとしてとらえることによって,ICDの好発部位やその原因物質の種類・頻度といった臨床的病態を考えるうえでの新たな視点がもたらされ,ICDの今まで見えなかった臨床像が浮かび上がってくる.本稿では,ICDと亜鉛欠乏との関連を中心に概説する.
われわれ皮膚科医が日々の診療において最も多く遭遇する皮膚疾患は湿疹であるが,その病態の本質は外界物質による一次刺激性接触皮膚炎(irritant contact dermatitis:ICD)であると考えられている.近年の自然免疫学研究の飛躍的な進歩に伴い,皮膚疾患の中で最も基本的な自然免疫応答であるICDの病態解明も急速に進みつつあるが,一方で,長らくその病因が不明であった亜鉛欠乏に伴う皮膚炎(腸性肢端皮膚炎)の本態がICDであることが最近明らかになった.世界で約20億人存在するといわれる亜鉛欠乏者をICDが起こりやすい人々の一群としてとらえることによって,あるいはICDを腸性肢端皮膚炎のプロトタイプとしてとらえることによって,ICDの好発部位やその原因物質の種類・頻度といった臨床的病態を考えるうえでの新たな視点がもたらされ,ICDの今まで見えなかった臨床像が浮かび上がってくる.本稿では,ICDと亜鉛欠乏との関連を中心に概説する.
参考文献
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