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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻6号

2015年05月発行

文献概要

症例報告

発汗回復に伴い点状膨疹出現範囲が移動した減汗性コリン性蕁麻疹の1例

著者: 中澤慎介1 青島正浩1 龍野一樹1 戸倉新樹1

所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.374 - P.378

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要約 27歳,男性.半年前から高温環境作業時に熱発し,ほとんど発汗しないことに気づいた.温熱による全身性発汗試験では,無汗部位と,ある程度の発汗を認める低汗部位とが区別され,点状膨疹は低汗部位に出現していた.アセチルコリン皮内投与により低汗部位に発汗が誘発され,無汗部位では誘発されなかった.免疫組織学的検査では,低汗部位よりも無汗部位においてM3コリン作動性受容体およびアセチルコリンエステラーゼの発現が低下していた.ステロイドパルス療法を行い,発汗量の促進と発汗部位の拡大をみた.その時点の温熱負荷試験において,点状膨疹は発汗完全回復部位には出現しなくなり,その周辺の低汗部位に認められた.回復の過程でコリン性蕁麻疹の出現範囲が,発汗程度に応じて変化することが示された.

参考文献

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8) Bito T, et al:Allergol Int 61:539, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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