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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻6号

2015年05月発行

文献概要

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文献紹介 進行期悪性黒色腫に対するBRAF阻害薬・MEK阻害薬の併用療法

著者: 八代聖1

所属機関: 1慶應義塾大学

ページ範囲:P.378 - P.378

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 悪性黒色腫ではBRAF-MEK-ERK(MAPK)経路が重要な役割をしている.BRAFV600変異陽性悪性黒色腫患者において,BRAF阻害薬(ダブラフェニブ,ベムラフェニブ)が無増悪生存期間を延長させることが知られているが,一方でBRAF阻害薬に対する耐性の獲得や,他経路からのMAPK経路活性化による二次性皮膚癌の発生への対処が課題となっている.今回の2論文はともに第Ⅲ相試験で,BRAF阻害薬にMEK阻害薬(トラメチニブ,コビメチニブ)を併用することで,BRAF阻害薬単剤で認める問題点の改善につながり,予後が改善すると報告されており紹介する.
 切除不能のⅢC期またはⅣ期のBRAFV600EまたはV600K変異陽性悪性黒色腫で未治療の患者423例を対象として,ダブラフェニブ+トラメチニブ投与(併用群)と,ダブラフェニブ+プラセボ投与(対照群)に無作為に割り付けた試験では,主要評価項目である無増悪生存期間中央値は,併用群9.3か月,対照群8.8か月であった.また,切除不能の局所進行または転移性のBRAFV600変異陽性悪性黒色腫で未治療の患者495例を対象として,ベムラフェニブ+コビメチニブ投与(併用群)とベムラフェニブ+プラセボ投与(対照群)に無作為に割り付けた試験では,主要評価項目である無増悪生存期間中央値は,併用群9.9か月,対照群6.2か月であった.両者の試験において,併用療法群では二次性皮膚癌の発生数が少なかった.有害事象の発生率は,対照群と比べると併用群において同程度からやや頻度が高かった.有害事象としては発熱が最も多く,治療を中止するほどの重症なものは多くなかった.

参考文献

Long GV, et al:Combined BRAF and MEK inhibition versus BRAF inhibition alone in melanoma. N Engl J Med 371:1877-1888, 2014
Larkin J, et al:Combined vemurafenib and cobimetinib in BRAF-mutated melanoma. N Engl J Med 371:1867-1876, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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