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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻6号

2015年05月発行

文献概要

症例報告

GJB6遺伝子c.31G>A変異による掌蹠角化を欠くClouston症候群の1例

著者: 林良太12 下村裕2 藤本篤1 伊藤雅章1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 2新潟大学大学院医歯学総合研究科遺伝性皮膚疾患研究室

ページ範囲:P.379 - P.383

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要約 19歳,女性.出生時より全頭にわたり毛髪量が乏しく,細く短い毛髪を認め,爪甲の肥厚を伴っていた.その後も毛髪は伸長せず,爪症状も改善しないため,精査目的に当科を受診した.発汗,歯牙は正常.掌蹠の角化は認めなかった.乏毛症,爪甲の肥厚からClouston症候群を疑い,原因遺伝子であるGJB6遺伝子を解析した.その結果,患者のGJB6遺伝子に,ミスセンス変異c.31G>A(p.Gly11Arg)がヘテロで同定された.Clouston症候群は乏毛症,爪甲の肥厚,掌蹠の角化を3徴候とする常染色体優性遺伝性疾患であり,コネキシン30をコードしているGJB6遺伝子が原因遺伝子であることが知られているが,本邦での報告はきわめて少ない.本症例は,掌蹠角化症を伴わない臨床像を呈する非典型的な症例であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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