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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻6号

2015年05月発行

文献概要

症例報告

脂漏性角化症の病変内に生じた基底細胞癌の1例

著者: 本田由貴1 劉祐里1 大日輝記1 遠藤雄一郎1 藤澤章弘1 谷岡未樹1 桜井孝規2 椛島健治1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚科 2京都大学医学部附属病院病理診断部

ページ範囲:P.402 - P.406

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要約 76歳,男性.左頰部の黒褐色結節を主訴に受診した.ダーモスコピーではbrain-like appearance, comedo-like openingsを伴う褐色結節病変の中央に,角化を伴う黒色病変を認め,同部位の皮膚生検,病理組織像より基底細胞癌と診断した.切除標本の病理組織像では脂漏性角化症の病変に連続して基底細胞癌を認めた.組織型はそれぞれ脂漏性角化症が角質増生型と網状型,基底細胞癌が腺様型であり,合併例の組織型としてはこれまで報告のないものであった.脂漏性角化症は良性の皮膚腫瘍であるが,皮膚悪性腫瘍との合併例が報告されており,なかでも基底細胞癌との合併が最も多いとされている.自験例では脂漏性角化症の病変内に連続して基底細胞癌が発生していたが,両腫瘍の鑑別に有用とされるダーモスコピーでは典型的な所見は得られず,皮膚生検実施前には基底細胞癌の診断には至らなかった.脂漏性角化症の病変内に非典型的な所見を認めた際には,皮膚生検による精査が望ましいと考えた.

参考文献

1) Sibley K, et al:Proc R Soc Med 25:67, 1932
2) Cascajo CD, et al:Am J Dermatopathol 18:278, 1996
3) Mikhail GR & Mehregan AH:J Am Acad Dermatol 6:500, 1982
4) 山田陽三,他:皮膚臨床 46:1081, 2004
5) Youssef KK, et al:Nat Cell Biol 12:299, 2010
6) Bolognia JL, et al:Dermatology, Third eds, vol.2. Elesevier Saunders, Philadelphia, p1796, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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