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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻6号

2015年05月発行

文献概要

症例報告

軟部組織に発症した脈管肉腫の2例

著者: 辻岡馨1 大橋理加1 谷冴香1 奥村慶之2 西端和哉3 楠葉展大4 辻花光次郎4

所属機関: 1日本赤十字社和歌山医療センター皮膚科 2日本赤十字社和歌山医療センター形成外科 3にしばた形成外科クリニック 4京都大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.411 - P.416

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要約 症例1:41歳,男性.初診2か月前に左こめかみに有痛性皮下腫瘤が出現した.病理組織学的に病変は深部脂肪層から筋層にかけて存在し,核異型を示す紡錘形ないし類上皮様の細胞が増殖し,細胞間に出血がみられた.腫瘍細胞はCD31,FVⅢag陽性であった.原発巣を切除し,タキサン系抗癌剤を投与した.症例2:41歳,男性.両側の気胸と囊胞内出血をくり返し,肺生検所見から脈管肉腫の転移を疑われた.全身検索で左足関節部外側下方に約5年前から気づいていた皮下腫瘤を認めた.病理組織学的に病変は皮下脂肪,筋膜,腱,筋層に及んでいた.紡錘形および類上皮様の細胞が混在増殖し,偽管腔様構造もみられた.腫瘍細胞はCD31,CD34,FVⅢag陽性であった.原発巣を切除し化学療法を試みたが,喀血をきたして永眠した.軟部組織に発生する脈管肉腫は稀であり,皮膚に発生するものと比べて多様な疫学的特徴,形態学的特徴を示すので臨床的に注意を要する.

参考文献

1) Weiss SW & Goldblum JR:Enzinger and Weiss's Soft Tissue Tumors 5th ed, Mosby Elsevier Inc, Philadelphia, p703, 2008
2) Meis-Kindblom JM, Kindblom LG:Am J Surg Pathol 22:683, 1998
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10) 増地 裕,他:臨皮 65:690, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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