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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻6号

2015年05月発行

文献概要

症例報告

動物疥癬の1家族例—タヌキから感染した飼いイヌとの接触により発症

著者: 松尾典子1 谷口裕子1 大滝倫子1

所属機関: 1九段坂病院皮膚科

ページ範囲:P.431 - P.434

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要約 症例1:67歳,男性.体幹,大腿に掻痒の強い丘疹が多発し,当科を受診した.初診時,体幹,大腿前面に粟粒大の紅斑性丘疹が多数散在していた.症例2:65歳,女性.症例1の妻.体幹,大腿部に掻痒の強い丘疹が多数みられた.飼いイヌに脱毛,痂皮を生じ,初診10日前に動物病院でイヌ疥癬と診断されていた.持参した飼いイヌの痂皮の鏡検でヒゼンダニの虫体・卵を多数認めたが,症例1,2ともに皮疹から虫体,卵は検出されず動物疥癬と診断した.イヌの発症前より自宅周辺に脱毛のあるタヌキが出没し,イヌの飼育場所でタヌキに餌やりをしていた.飼いイヌに他のイヌとの接触はなく,イヌ科であるタヌキの疥癬が飼いイヌに感染し,イヌとの接触で家族が発症したと考えた.イヌは獣医よりイベルメクチンを投与され,家族はステロイド外用,抗アレルギー薬内服を行い治癒した.症例1は難治であったため問診したところ,夜間未治癒のイヌと寝ていたことが判明した.罹患動物の隔離の重要性を再認識した.

参考文献

1) 大滝倫子:最新皮膚科学体系,16,中山書店,p64, 2003
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3) Ruiz-Maldonado R, et al:Arch Dermatol 113:1733, 1977
4) Estes SA, et al:J Am Acad Dermatol 9:397, 1983
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6) 竹中祐子,他:皮膚臨床 48:1699, 2006
7) Ninomiya H, Munetsugu O:Vet Dermatol 16:177, 2005
8) 大滝倫子:皮膚と美容 37:190, 2005
9) 原 弘之,鈴木啓之:皮膚病診療 25:615, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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