icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻7号

2015年06月発行

症例報告

バルサルタンによる薬剤誘発性水疱症の2例

著者: 陳怡如12 関根万里1 中尾由絵1 古屋紳子3 石河晃2

所属機関: 1(公財)東京都保健医療公社荏原病院皮膚科 2東邦大学医学部皮膚科学講座(大森) 3大岡山皮膚科

ページ範囲:P.479 - P.483

文献概要

要約 症例1:74歳,男性.バルサルタンを約7年内服後,手足を中心に下顎,四肢の内側に紅斑,水疱とびらんが出現.抗BP180抗体陽性.バルサルタンで薬剤添加リンパ球幼若化試験(drug-induced lymphocyte stimulation test:DLST)陽性.バルサルタンの内服中止とステロイド外用にて皮疹は消退し,内服誘発テスト開始22日目で皮疹が誘発された.症例2:82歳,女性.バルサルタン内服4か月後より体幹および外陰部にびらんと紅斑,弛緩性水疱が出現.デスモグレイン1抗体陽性.バルサルタンでDLST陽性.バルサルタン内服中止と,プレドニゾロン内服で症状は寛解した.デスモグレイン1およびBP180という性質の全く異なる分子に自己免疫が誘導されたことはバルサルタンがSH基含有薬剤と同様なさまざまな自己免疫性水疱症を誘導しうることが示唆されるため,自己免疫性疾患の診断の際には注意が必要な薬剤であると考えた.

参考文献

1) 田中俊宏:皮膚科診療プラクティス,19巻,文光堂,p161, 2006
2) 藤本 亘:最新皮膚科学大系,6巻,第1版,中山書店,p60, 2002
3) 藤本篤夫,他:臨皮 42:325, 1988
4) 古川直子,他:日皮アレルギー 7:36, 1999
5) 東 順子,他:皮膚科学 7:312, 2008
6) Wolf R, et al:Dermatology 189:1, 1994
7) 段野貴一郎,他:皮紀 80:299, 1985
8) Mutasim DF, et al:Dermatol Clin 11:463, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら