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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻7号

2015年06月発行

症例報告

晩発性皮膚ポルフィリン症の1例

著者: 福島彩乃1 小幡祥子1 市村佳子1 藤尾由美1 木花いづみ1

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科

ページ範囲:P.491 - P.496

文献概要

要約 66歳,男性.アルコール多飲歴あり.夏に頭や手にびらんが出現し,抗生剤やステロイド剤外用で改善しなかった.露出部皮膚は赤銅色を呈し,頭頂部や顔面,手背に水疱やびらんが多発し,頭頂部では色素脱失や脱毛を伴う瘢痕が目立った.尿は赤色尿を呈しWood灯下で赤色に蛍光を発し,肝機能障害とフェリチン高値,尿中コプロポルフィリンとウロポルフィリンの上昇を認めた.病理組織像で表皮下水疱,真皮血管壁にPAS染色陽性の沈着物を認めた.晩発性皮膚ポルフィリン症と診断し,禁酒,遮光,瀉血療法を行いびらんは上皮化したが,頭頂部では瘢痕が残り再発毛を認めなかった.本症ではポルフィリン体の光毒性反応による局所の炎症,血管障害,膠原線維への直接作用で多彩な皮膚症状を呈する.慢性期の瘢痕,皮膚硬化は不可逆性病変となるため早期の診断が重要である.本症が疑われる際は尿の目視やWood灯によるスクリーニング検査が有用である.

参考文献

1) 野中薫雄,上里 博:疾患や症候群に伴う色素異常症:最新皮膚科学体系,第8巻,中山書店,p210, 2002
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3) 橋本 健:皮膚の科学 8:518, 2009
4) Phillips JD, et al:Proc Nati Acad Sci USA 104:5079, 2007
5) 野中薫雄:環境因子・光線による皮膚障害:最新皮膚科学体系,第16巻,中山書店,p278, 2003
6) Elder, et al(eds):Lever's Histopathology of the Skin, ninth edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, p376, 2004
7) Timonen K, et al:Clin Exp Dermatol 16:355, 1991
8) Varigos G, et al:J Clin Invest 69:129, 1982

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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