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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻8号

2015年07月発行

文献概要

今月の症例

巨大な腫瘤を呈し自然消退した若年性黄色肉芽腫の1例

著者: 成田幸代1 堀川永子1 持田耕介1 加嶋亜紀1 天野正宏1 瀬戸山充1

所属機関: 1宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野

ページ範囲:P.542 - P.547

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要約 3か月,男児.出生時から左前腕に米粒大の丘疹が多発し,徐々に増大してきたため当科を紹介され受診した.大豆大の表面に光沢のある淡紅色結節を3個認め,一部にびらん,潰瘍を伴っていた.皮膚生検にて表皮直下から真皮全層にかけてびまん性に組織球様細胞の増殖を認め,泡沫細胞やTouton型巨細胞もみられ,若年性黄色肉芽腫と診断した.その後,皮疹は増大,癒合し,生後10か月時には4.5×5cm大となった.再度生検にて悪性所見を認めず,経過観察したところ,生後12か月頃より縮小傾向となり,3歳時には完全に消退した.若年性黄色肉芽腫では,巨大な腫瘤を形成する場合があるが,自然消退があり,正確な組織診断の上で経過観察が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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