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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻8号

2015年07月発行

文献概要

症例報告

痒疹型を呈した亜鉛による全身型金属アレルギーの1例

著者: 河平一宏1 木原綾子1 谷口彰治2

所属機関: 1コスモメディカルクリニック 2OBPクリニック皮膚科

ページ範囲:P.548 - P.553

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要約 58歳,男性.背部,腹部に痒疹が多発しステロイド外用・抗ヒスタミン薬内服で治療を行ったが,改善しなかった.問診により真鍮の徳利で飲酒を行うようになってから悪化したことが判明し,徳利から溶出したスズによる全身型金属アレルギーを当初疑った.スズを含む17種類の金属について第1回目のパッチテストを実施したがすべて陰性だった.患者は増悪の経緯からスズを原因金属として疑ったため,スズ含有歯科充塡物10本を全抜去したところ3か月後に改善をみた.しかし徳利からのスズの溶出は確認できなかった.再度パッチテストを実施したところ,亜鉛で明らかな陽性を示した.確定診断のため亜鉛内服テストを実施し,内服終了翌日に背部に痒疹が出現した.以上より,亜鉛を含有する歯科金属による全身型金属アレルギーと診断した.亜鉛および他の金属による痒疹型の金属アレルギーの症例の集積が期待される.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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