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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻8号

2015年07月発行

文献概要

症例報告

外歯瘻様の臨床像を呈した節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型の1例

著者: 江上将平1 野村尚志1 笠井弘子1 横山知明1 杉浦丹1 吉田喬2

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科 2静岡市立清水病院血液内科

ページ範囲:P.589 - P.593

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要約 55歳,男性.初診3か月前より右下歯肉頰粘膜移行部に潰瘍,右顎下に腫瘤が出現し,徐々に増大した.歯根囊胞もあり,外歯瘻を疑ったが瘻孔は認めず,歯科治療後も改善がなかった.病理組織では真皮全層に稠密なリンパ球浸潤を認め,これらの細胞はCD3cy(+),CD20(−),CD56(+),TIA-1(+),Granzyme B(+)であった.EBER ISHは陽性で,組織検体のサザンブロット法を用いたEBウイルスターミナルリピートの解析で単一のバンドが示された.以上より,節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型と診断した.RT-2/3DeVIC療法を行ったが再発し,セカンドラインとして施行したSMILE療法中に多臓器不全を起こし永眠した.NK/T細胞リンパ腫の皮膚病変はその稀有性と多彩な臨床像から診断に苦慮する例が多い.臨床亜型に留意することが早期診断に重要である.

参考文献

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12) Yamaguchi M:Int J Hematol 96:562, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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