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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻8号

2015年07月発行

文献概要

症例報告

壊疽性膿皮症を契機に見つかった無症候性IgA-κ型多発性骨髄腫の1例

著者: 守内玲寧1 菊地一博1 伊東孝政1 伊東英里2 山口圭介3 清水聡子1

所属機関: 1市立札幌病院皮膚科 2札幌市 3市立札幌病院血液内科

ページ範囲:P.595 - P.598

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要約 43歳,女性.初診の2週間前から,左下腿前面に虫刺症様の皮疹が出現し,徐々に拡大した.初診時,左下腿前面に5cm大の辺縁が蚕食状で穿掘性の皮膚潰瘍を認めた.病理組織学的には真皮内への夥しい好中球の浸潤がみられ,臨床所見と併せ壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum:PG)と診断した.採血で免疫グロブリンの異常が判明したため血液内科と連携し検索を進めた.骨髄穿刺で骨髄腫細胞の増加があり,骨髄液を用いたFISH法で13qの部分欠失が認められ,さらに免疫固定法で尿・血清のいずれにおいてもIgA-κ型のM蛋白が検出され,IgA-κ型の無症候性多発性骨髄腫と診断された.PGの治療にはプレドニゾロン1mg/kg/日とシクロスポリン3mg/kg/日を用いた.その結果潰瘍の拡大は停止し,その後緩徐な経過で上皮化してきている.自験例ではPGの存在が無症候性の多発性骨髄腫の発見につながった.PGの診断はその背景にある疾患の早期診断につながる可能性があり,その面でも皮膚科医の役割は大きい.

参考文献

1) Brunsting LA, et al:Arch Dermatol Syphilol 22:655, 1930
2) Bolognia JL, et al:Dermatology, 3rd ed, vol.1, Elsevier Saunders, Amsterdam, p427, 2012
3) Powell FC, et al:Q J Med 55:173, 1985
4) International Myeloma Working Group:Br J Haematol 121:749, 2003
5) Mateos MV, et al:N Engl J Med 369:438, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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