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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻8号

2015年07月発行

文献概要

症例報告

皮膚浸潤を認めた多発性骨髄腫の1例

著者: 井上剛1 渡部大輔1 高橋和宏1 赤坂俊英1 佐藤孝2

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学教室 2岩手医科大学病理学講座病理病態学部門

ページ範囲:P.599 - P.603

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要約 51歳,男性.IgGλ型多発性骨髄腫にて当院血液内科加療中であった.2011年10月末より右胸部に可動性不良,弾性硬の皮下腫瘤が出現した.皮膚生検を施行し,HE染色にて大型の形質細胞様細胞の皮下組織内へのびまん性増殖を認め,免疫染色にて腫瘍細胞はCD38(+),CD20(+),CD79(−),λ(+)であった.骨髄の病理組織像ではHE染色にて異型細胞がびまん性に浸潤,増生しており,免疫染色にて腫瘍細胞はCD20(+),CD38(+),CD79(−),λ(+)を呈した.また胸部CT画像にて右肋骨弓部に軟部腫瘤を認めた.病理組織像,画像所見より多発性骨髄腫の皮膚浸潤と診断した.その後,Rd(レナリドミド,デキサメタゾン)療法を中心とした化学療法を施行し皮下腫瘤は消失した.多発性骨髄腫の皮膚浸潤は予後不良とされるが,皮膚病変が縮小や消失した場合は良好な予後につながる可能性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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