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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻8号

2015年07月発行

文献概要

症例報告

Dirofilaria repensにより頭部に皮下結節を形成した日本人女性におけるイヌ糸状虫症の1例

著者: 大方詩子1 松崎ひとみ1 森真理子1 鈴木淳2 小林正規3 丸山治彦4 陳科榮1

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科 2東京都健康安全研究センター微生物部 3慶應義塾大学医学部感染症学 4宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野

ページ範囲:P.604 - P.608

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要約 42歳,女性.右側頭部に1cm大の可動性不良な皮下結節を形成し,切除目的に帽状腱膜を切開したところ,内部から12cm長の白色糸状虫が排出された.虫の形態,患者血清中の抗体価および虫体の遺伝子解析でイヌ糸状虫の1種であるDirofilaria repensと同定した.イヌ糸状虫はイヌを固有宿主とし,蚊に媒介される寄生虫で,代表的な2種は皮下に結節を形成するD. repensと,右心室や肺動脈に寄生するD. immitisである.ヒトにも稀に感染するが十分に成熟しえず,D. repensでは幼虫爬行症や皮下結節を生じ,D. immitisでは肺動脈末梢に異物肉芽腫を形成する.自験例のようなD. repensは本邦には分布せず,ヒト感染の報告は過去に2例のみである.虫の遺伝子配列がイタリアの報告例と100%一致したため,西欧渡航時の感染も考えられた.D. repensによる皮下結節の治療は外科的切除である.皮下結節の鑑別の1つとなり,報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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