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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻8号

2015年07月発行

文献概要

症例報告

Bartonella henselae血清抗体検査で確定診断したネコひっかき病の親子例

著者: 斎藤奈津子1 川上千佳1 椋本祥子1 小林美和2 中村元信2

所属機関: 1九州労災病院皮膚科 2産業医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.609 - P.612

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要約 症例1:7歳,女児.左鼠径部の腫脹・疼痛を主訴に当科を紹介され受診し,画像にて充実成分と囊胞成分が混在するリンパ節腫脹を認めた.内用液を穿刺・培養したが細菌・真菌ともに陰性であった.クラリスロマイシン投与でリンパ節腫脹は速やかに改善を認めた.症例2:32歳,症例1の母.症例1が受診する1か月前に左鼠径リンパ節腫大の既往あり,近医にてセフジトレンの内服で軽快した.さらに詳細な問診をとると,ネコを屋内で数匹飼っており,親子ともに日常的に猫にひっかかれる環境で暮らしていたことから,ネコひっかき病を疑った.Bartonella henselae血清抗体検査では,IgG,IgMともに高値であり,同時期に発症したネコひっかき病の親子例であると確定診断した.B. henselaeは細菌培養検査が難しく,詳細な問診とともに血清抗体を検出することによって確定診断に導けると再確認した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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