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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻9号

2015年08月発行

文献概要

症例報告

皮膚症状が先行した多発血管炎性肉芽腫症の1例

著者: 金子綾1 上野孝1 伊藤路子1 大塚洋平1 林宏紀2 川名誠司1

所属機関: 1日本医科大学皮膚科 2日本医科大学呼吸器内科

ページ範囲:P.629 - P.632

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要約 71歳,男性.原因不明の腎不全のため3年前から血液透析中であった.左手背,両下腿,足背に紫斑と皮膚潰瘍が生じた.その後,咳嗽が出現した.皮膚症状から血管炎を疑い生検した.皮膚病理組織所見は真皮乳頭層〜下層,脂肪隔壁の細静脈の壊死性血管炎と血栓性小静脈炎の所見であった.PR3-ANCAは245 EUと陽性であった.CTでは両肺野に多発する結節影と上顎洞に陰影を認めた.皮膚および呼吸器に病変があったため,限局型多発血管炎性肉芽腫症と診断した.プレドニゾロン30mg/日,シクロホスファミド50mg/日,ST合剤2錠/日を投与した.1週間後に皮膚症状は改善し,胸部CTで肺野の結節影が縮小,PR3-ANCAも低下した.皮膚症状で血管炎を疑った際には,早期の皮膚生検と,他臓器疾患の検索を並行して行うことが大切である.

参考文献

1) Jennette JC, et al:Arthritis Rheum 65:1, 2013
2) 古江増隆:皮膚科臨床アセット 皮膚の血管炎・血行障害,中山書店,p74, 2011
3) 川名誠司,陳 科榮:皮膚血管炎,医学書院,p161, 2013
4) ANCA関連血管炎のわが国における治療法の確立のための多施設共同前向き臨床研究班,難治性血管炎に関する調査研究班,進行性腎障害に関する調査研究班:ANCA関連血管炎の診療ガイドライン,p44, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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