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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻9号

2015年08月発行

症例報告

放射線治療や各種化学療法により寛解に至った臀部原発多発転移性Merkel細胞癌の1例

著者: 森志朋1 高橋和宏1 赤坂俊英1

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.678 - P.683

文献概要

要約 72歳,男性.初診2009年6月.初診2か月前より右鼠径部腫脹を自覚,CTで右鼠径と内腸骨リンパ節腫脹があった.生検でMerkel細胞癌を疑われ当科を紹介され受診した.臀部腫瘤とPET-CTで肺門集積,多発リンパ節腫大を認め,腫瘤切除とCAV療法を施行し転移巣は縮小した.その後,鼠径リンパ節郭清術と放射線化学療法を施行した.転移巣の新生はなく2012年11月までCAV療法を繰り返した.2013年1月に右大腿に結節が出現し生検で皮膚転移と判明した.3月よりCE療法と放射線療法を開始し転移巣は消失したが,足関節部に結節が新生し追加照射した.5月のPET-CTで腎門部と右大腿に転移巣新生があり,放射線療法を併用し転移巣は消失した.8月のCTで右外腸骨リンパ節,右腰臀部に転移巣新生があり,IP療法と放射線療法を開始したところ転移巣はすべて消失した.IP療法7クール施行し現在まで転移巣の新生はない.進行期Merkel細胞癌に対する治療は小細胞肺癌の治療に準じているが,症例の集積とともに進行期Merkel細胞癌の治療ガイドラインの確立が望まれる.

参考文献

1) Toker C:Arch Dermatol 105:107, 1972
2) 宮城島拓人,他:癌の臨床 36:75, 1990
3) Feng H, et al:Science 319:1096.2008
4) 成澤 寛:癌と化療 37:634, 2010
5) 後藤功一:内科 103:285, 2009
6) 柴山慶継,他:Skin Cancer 26:174, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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