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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科69巻9号

2015年08月発行

文献概要

症例報告

大腿筋膜移植にて修復した上腰ヘルニアの1例

著者: 江上将平1 本田治樹1 横山知明1 杉浦丹1 福積聡2

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科 2帝京大学ちば総合医療センター形成外科

ページ範囲:P.689 - P.693

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要約 77歳,男性.20歳台の頃より左腰背部の膨隆を自覚していた.触診上は手拳大の弾性軟な皮下腫瘤を触知し,脂肪腫が疑われたが,姿勢や腹圧により変化を認めた.エコーにて後腹膜に連続する脂肪成分がみられ,MRIで後腹膜脂肪の脱出を確認し,左上腰ヘルニアと診断した.腹斜筋群と背側筋群を縫合閉鎖し,大腿筋膜を移植して補強した.術後合併症なく,第7病日に退院した.以後,再発を認めていない.腰ヘルニアは稀な疾患であり,単純縫合閉鎖の他に,人工材料を用いた修復方法が報告されている.自験例では自家大腿筋膜を用いた補強で良好な結果を得ることができ,治療の選択肢の1つとして有用であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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