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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻1号

2016年01月発行

文献概要

症例報告

手指に生じたlichen aureusの1例

著者: 江野澤佳代1 石河晃2

所属機関: 1東京高輪病院皮膚科 2東邦大学医学部皮膚科学講座(大森)

ページ範囲:P.17 - P.20

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要約 30歳,男性.初診の3年前より,手指に自覚症状のない褐色斑が出現した.その後,皮疹に変化はみられず,放置していた.初診時,右第3・4指に,境界明瞭,辺縁不整な赤褐色斑と褐色斑が散在していた.病理組織学的に,表皮下に,組織球を混ずるリンパ球の帯状浸潤と,表皮内へのリンパ球の遊走,赤血球の血管外漏出とヘモジデリンの沈着を認め,臨床所見と合わせて,lichen aureusと診断した.自験例を含め,2014年までに,lichen aureusあるいは,lichen purpuricusとして報告された,本邦報告例78例のうち,手指に限局して生じた症例は3例で,きわめて稀であると考えられた.さらに,男女比,発症年齢,発症部位,発症誘因,治療法に関しまとめ,自験例と比較検討した.自験例は,発症部位以外は,本症に典型的であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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