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症例報告
陰茎に生じた基底細胞癌の1例
著者: 畠中美帆1 石橋正史1
所属機関: 1日本鋼管病院皮膚科
ページ範囲:P.57 - P.61
文献購入ページに移動要約 86歳,男性.5年以上前に陰茎の皮疹を自覚した.自覚症状はなかった.初診時,陰茎根部背側に帯状の50×15mm大,辺縁が比較的明瞭な不整形,淡紅色で黒色斑を混じた色調不均一な病変を認め,病変の中央にはびらんおよび浅い潰瘍を伴った.ダーモスコピーでは樹枝状血管と多発灰青色小球を認めた.病理組織像は隆起性の病変で,表皮と連続して真皮に腫瘍細胞が結節状に増殖していた.増殖していた細胞は毛芽細胞様細胞で,腫瘍胞巣の辺縁に核の柵状配列を認め,胞巣周囲にはムチンの沈着と空隙の形成があった.病変は拡大切除した.自験例は辺縁不整で比較的大型だったが,放射線照射歴等のリスク因子はなかった.陰茎癌の中では基底細胞癌は稀であるが,外陰部全体としては顔面に次ぐ好発部位である可能性がある.
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