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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻10号

2016年09月発行

文献概要

症例報告

味噌醸造を家業とする兄弟に発症した麹菌アレルギーの2例

著者: 福田佳奈子1 足立厚子1 指宿千恵子1 白井成鎬1 佐々木祥人1

所属機関: 1兵庫県立加古川医療センター皮膚科

ページ範囲:P.751 - P.755

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要約 患者は味噌醸造家に育った兄弟である.症例1:32歳,男性(兄).中学時より麹吸入時呼吸困難を繰り返していた.症例2:22歳,男性(弟).小児期から手足の腫脹,腹痛,下痢,嘔吐を繰り返し,麹吸入時の呼吸困難に加え,成人後,摂食後2時間後に腹痛・嘔吐があった.2症例ともに自家製の麹,麹菌,味噌のプリックテストが強陽性であった.アスペルギルス特異IgE(Immuno-cap)は,症例1クラス1,症例2クラス0であった.症例2は血清補体価CH50およびC4が著明に低値であった.症例1は麹菌に対する即時型機序,症例2は補体が関与する機序を考えた.麹菌に対するアレルギーの報告は,味噌醸造を家業とする職業性が多い.麹菌(Aspergillus oryzae)特異IgEは通常測定できず,交叉性のあるAspergillus fumigatus特異IgEで代用診断される.麹菌が産生するαアミラーゼ特異IgEは自験2例では陰性であったが,病態への関与を否定するものではない.

参考文献

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10) Shen HD, et al:Int Arch Allergy Immunol 116:29, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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