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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻10号

2016年09月発行

文献概要

症例報告

ブシラミン投与により発症した乾癬型薬疹と思われる1例

著者: 冲永昌悟1 多田弥生1 武岡伸太郎1 清水知道1 井関紗月1 林耕太郎1 大西誉光1 伊賀祥子2 渡辺晋一1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座 2帝京大学医学部内科学講座

ページ範囲:P.761 - P.766

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要約 48歳,女性.初診の7か月前に関節リウマチの診断で,近医内科でブシラミンを開始され,翌月からメトトレキサート(MTX)が追加投与された.2か月後に肝機能障害と倦怠感が出現し,MTXは中止し,ブシラミンのみ投与継続された.ブシラミン投与開始3か月後から両手掌と足底に瘙痒を伴う角化性紅斑が出現した.その後,皮疹は頭部,下腿にも生じ,ジフロラゾン酢酸エステルを外用するも改善せず,2015年10月に当科を紹介受診した.頭部,足底には角化性の紅斑局面を認め,手掌,下腿には表面に鱗屑が付着する大豆大までの紅斑が散在していた.血液検査で好酸球が21%と上昇し,乾癬様の病理組織像に加え,空胞変性,色素失調,真皮への好酸球浸潤を認めた.乾癬型薬疹を疑い,ブシラミン内服を中止したところ,皮疹は色素沈着となり,好酸球数も1%まで改善した.乾癬型薬疹の報告のある薬剤を投与後に乾癬様の皮疹を認める場合は,乾癬型薬疹を考える必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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