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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻10号

2016年09月発行

文献概要

症例報告

アダリムマブが有効であった難治性皮疹を伴うBehçet病の1例

著者: 石倉祐貴1 島田俊嗣1 牛上敢1 藤井俊樹1 阿部真也1 西部明子1 望月隆1 野村友映2 有沢富康2

所属機関: 1金沢医科大学皮膚科学講座 2金沢医科大学消化器内科学講座

ページ範囲:P.767 - P.771

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要約 34歳,女性.高校生の頃から再発性の口腔内アフタや関節炎を認めていた.初診7か月前に陰部潰瘍が出現し,初診1か月前より下腿に有痛性紅斑が出現したため2011年3月に当科を受診した.眼症状はなく,不全型Behçet病と診断し,プレドニゾロン(PSL)内服で加療を開始した.PSL投与後も約4年間にわたり下腿に生じた潰瘍は寛解増悪を繰り返した.2014年になり腹痛とともに下血をきたし,下部消化管内視鏡検査を施行し,回盲部潰瘍を認めたため腸管型Behçet病と診断した.アダリムマブ投与を開始したところ,腹部症状とともに潰瘍はすみやかに改善し,PSL減量後も潰瘍の再発は認めなかった.アダリムマブは皮疹のみのBehçet病に対して適応はないが,TNF-αを阻害することで好中球の機能亢進が抑制され皮疹も改善したと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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