icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻10号

2016年09月発行

文献概要

症例報告

皮膚筋炎の治療中に腸管囊腫様気腫症を発症した2例

著者: 木下真直1 髙木真知子1 中込大樹1 原田和俊1 猪爪隆史1 川村龍吉1 島田眞路1

所属機関: 1山梨大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.779 - P.784

文献購入ページに移動
要約 症例1:84歳,男性.1か月前より顔面・上肢の紅斑,四肢筋力低下が出現した.皮膚筋炎の診断で,プレドニゾロン(PSL)30mg内服を開始し,皮疹や筋力は改善した.しかし,治療開始6日後より腹部膨満感を自覚,約2週間後から腹痛が出現した.症例2:75歳,男性.下咽頭癌に伴う皮膚筋炎の診断でPSL 70mg内服を開始し,皮疹と筋力は改善した.しかし,治療開始2週間後より腹部膨満感を自覚,1か月後から腹膜刺激症状が出現した.いずれの症例もCTにて腸管壁の気腫性変化を認め,腸管囊腫様気腫症と診断した.症例1では腸管囊腫様気腫症の診断3日後に多臓器不全により死亡した.症例2では緊急腸管切除術により救命しえた.皮膚筋炎に腸管囊腫様気腫症が合併した報告は稀である.しかし,皮膚筋炎では消化管の蠕動低下,ステロイド投与など種々の腸管囊腫様気腫症のリスク因子が重複すると考えられるため,注意が必要である.

参考文献

1) St Peter SD, et al:Arch Surg 138:68, 2003
2) 加藤秀章,他:日消誌 102:900, 2005
3) Callen JP:Lancet 355:9197, 2000
4) Saito M, et al:Clin Rheumatol 26:601, 2007
5) Han BG, et al:Yonsei Med J 43:686, 2002
6) Wada Y, et al:Mod Rheumatol 14:260, 2004
7) Voboril R:Acta Medica 44:89, 2001
8) Heng Y, et al:Am J Gastroenterol 90:1747, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?