icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻11号

2016年10月発行

文献概要

症例報告

皮膚症状の出現からgranulomatosis with polyangiitisの診断に至った1例

著者: 尾本大輔1 山口卓1 吉岡学1 中村元信1

所属機関: 1産業医科大学皮膚科

ページ範囲:P.855 - P.860

文献購入ページに移動
要約 78歳,男性.既往にサルコイドーシス疑い,骨髄異形成症候群がある.皮疹出現の1年前に,咳嗽,喀血の症状があった.胸部CTにて浸潤影を認め,経気管支鏡生検にて非壊死性の類上皮肉芽腫を確認され,PR3-ANCA陽性で,granulomatosis with polyangiitis(GPA)が疑われたものの確定診断には至らなかった.1年後,右顔面,頸部,両上腕に潰瘍を伴う結節が出現した.腎機能の低下および,結節部の皮膚組織像に壊死性血管炎を認め,GPAと診断した.副腎皮質ステロイドの全身投与を行い,皮疹は速やかに改善し,腎機能の回復,PR3-ANCAの低下も認めた.壊死性血管炎を伴うGPAは急速進行性で全身型に拡大する傾向があり,腎機能障害を呈する例が多いとされる.原因不明の結節,潰瘍ではGPAも鑑別疾患の1つに挙げ,皮膚生検を含めた各種検査を行い,GPA確定診断後は速やかに治療を開始することが重要である.

参考文献

1) 宮地良樹:皮膚疾患ガイドライン編:メディカルレビュー,p60, 2015
2) 勝岡憲生,他:日皮会誌 118:2095, 2008
3) 尾崎承一,他(編):ANCA関連血管炎の診療ガイドライン,厚生労働省難治性疾患克服研究事業,p17, 2011
4) Jennette JC, et al:Arthritis Rheum 65:1, 2013
5) Watts R, et al:Ann Rheum Dis 66:222, 2007
6) 難治性血管炎に関する調査研究班研究斑:難病の診断と治療指針,東大六法出版,p263, 2001
7) Barksdale SK, et al:Am J Surg Pathol 19:161, 1995
8) Frances C, et al:Arch Dermatol 130:861, 1994
9) Knight A, et al:J Rheumatol 42:690, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?