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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻11号

2016年10月発行

文献概要

症例報告

Tailgut cystの1例

著者: 梅田直樹1 秋本成宏1 森川博文1

所属機関: 1広島県厚生農業協同組合連合会廣島総合病院皮膚科

ページ範囲:P.866 - P.870

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要約 39歳,女性.初診2年前より臀部の皮下腫瘍を自覚するようになった.CTでは尾骨部皮下〜直腸後壁にかけて多房性囊胞性腫瘤を認めた.臨床像および仙骨部からの試験穿刺で粥状物が吸引できたため,粉瘤と考え,切除した.囊胞は深部では直腸後壁と接していた.病理組織学的には尾骨部皮下の囊胞壁は重層扁平上皮で裏打ちされ,粉瘤として矛盾しない所見であったが,直腸後壁と接していた部分は重層扁平上皮以外にも多列絨毛円柱上皮で裏打ちされており,tailgut cystと診断した.Tailgut cystは胎生期に消退するtailgut(尾腸)が遺残するために生じる囊胞性疾患であり,10%程度で悪性化するとされている.臨床的には粉瘤などとの鑑別が必要だが画像検査での診断は困難であり,臀部皮下腫瘤の鑑別疾患として皮膚科医として念頭に置く必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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