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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻11号

2016年10月発行

文献概要

症例報告

皮膚B細胞性偽リンパ腫の1例

著者: 市村知佳1 江野澤佳代1 石河晃2

所属機関: 1東京高輪病院皮膚科 2東邦大学医学部皮膚科学講座(大森)

ページ範囲:P.897 - P.902

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要約 76歳,男性.初診3か月前より両耳前部に瘙痒を伴う皮疹が出現した.初診時,浸潤のある暗赤色斑が多発し局面を形成していた.クロベタゾン酪酸エステル軟膏やタクロリムス軟膏を外用したが改善しなかった.病理組織学的に表皮直下にgrenz zone,真皮浅層優位の濾胞構造を認め,付属器の破壊はなかった.構成細胞は大小不同のリンパ球で,形質細胞,組織球,tingible body macrophageを認めた.免疫組織学的に濾胞内にCD79a,膠原線維間にCD3陽性細胞を優位に認めた.Bcl-2は濾胞辺縁部に,CD10,Bcl-6,Ki-67は胚中心部で優位に陽性だった(Ki-67 index;70%以上).サザンブロット法によるTCR,IgHの遺伝子再構成は認めなかった.以上から皮膚B細胞性偽リンパ腫と診断した.初診から2年半後の皮疹は自然消退傾向であった.顔面に浸潤性紅斑が多発する非典型的な臨床像であり,悪性リンパ腫と鑑別あるいは移行に常に注意が必要な症例と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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