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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻12号

2016年11月発行

文献概要

今月の症例

手に生じた皮膚ノカルジア症の1例

著者: 千田聡子12 藤本栄大3 藤本典宏2 東野俊英124 多島新吾5

所属機関: 1自衛隊中央病院皮膚科 2防衛医科大学校皮膚科学教室 3ふじもと皮膚科クリニック 4防衛医科大学校分子生体制御学教室 5並木病院

ページ範囲:P.926 - P.931

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要約 41歳,男性.初診の7年前に転倒し左示指の挫創を縫合されたが,局所の感染を繰り返し,次第に小結節および膿疱が出現し増数した.数か所の医療機関を受診し,切開排膿や皮膚生検を施行され,加療されたが軽快せず,2008年1月当科を紹介受診した.左示指外側を中心に小膿疱・びらん・痂皮を伴う境界不明瞭な紅斑と皮下硬結を認めた.初回生検時の細菌・抗酸菌・真菌培養では皮膚常在菌以外検出されず,再生検した.病理組織像では真皮内で好中球からなる膿瘍が多発し,膿瘍内部で好酸性に染色される微細な顆粒を認めた.再度培養を行い,16S rRNA遺伝子の解析に基づき原因菌をNocardia brasiliensisと同定した.他臓器に病変を認めず,菌腫型の原発性皮膚ノカルジア症と診断し,塩酸ミノサイクリン内服の後ST合剤内服に変更し治癒した.菌腫型のPCNは1990〜2015年本邦報告例に自験例を含め13例あり,原因菌種はN. brasiliensisが過半数を占め,4例で1年以内に再発がみられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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