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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻12号

2016年11月発行

文献概要

症例報告

胆囊転移をきたした頸部の巨大悪性黒色腫

著者: 松井恒太郎1 牧野輝彦1 鹿児山浩1 森直哉1 杉田友里1 井波智恵子1 竹上與志昌1 三澤恵1 清水忠道1

所属機関: 1富山大学大学院医学薬学研究部皮膚科学講座

ページ範囲:P.975 - P.980

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要約 68歳,男性.初診1年半前より頸部腫瘤を自覚していたが放置していた.初診時前頸部に懸垂した巨大腫瘤を認めた.腫瘤の病理組織学的検査により悪性黒色腫と診断した.術前PET/CT検査では,頸部リンパ節への集積はないが,胆囊に腫瘍が確認された.頸部の悪性黒色腫を全切除し,リンパ節郭清および再建術を施行した.その後,胆囊摘出術を施行したところ,胆囊腫瘍も悪性黒色腫であり,最終的にT4bN0M1 Stage Ⅳと診断した.術後化学療法としてダカルバジン単独療法とインターフェロンβの局所投与を6クール行い,その後インターフェロンβの投与を継続したが,経過中に心不全が出現したため投与を中止し経過観察とした.術後2年間は再発なく経過したが,肺・咽頭に転移が出現増大し,初診2年8か月後に永眠された.自験例は路上生活者という社会的な背景より巨大腫瘤で発見され,また胆囊転移のみを認めたことより,稀な症例であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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