臨床皮膚科70巻13号

2016年12月発行

症例報告

セメント皮膚炎とゴム手袋による接触皮膚炎を合併した1例

著者： 若林祐次郎¹² 中野倫代² 松江弘之²

所属機関： ¹総合病院国保旭中央病院皮膚科 ²千葉大学大学院医学研究院皮膚科学

ページ範囲：P.1035 - P.1038

文献概要

要約　39歳，男性．初診3年前よりセメントを扱う建設業に従事しており，勤務中はゴム手袋を着用していた．初診6か月前より両手掌に瘙痒性角化局面が出現し，上肢や体幹にも紅斑がみられ，受診した．両手掌に角化を伴う紅斑と亀裂を認め，上肢や体幹には爪甲大程度の浮腫性紅斑と丘疹が散在していた．以上の臨床経過に加え，パッチテストで重クロム酸カリウム，塩化コバルト，ジチオカーバメイトミックス，チウラムミックスが陽性であり，セメント皮膚炎とゴム手袋による接触皮膚炎を合併していると考えた．セメント皮膚炎とゴム製品による二次的な感作の合併頻度は高く，自験例でも皮膚が障害されている状態でゴム手袋を装着したことで二次的にゴム成分にも感作されたと考えた．

参考文献

1) Lazzarini R, et al:An Bras Dermatol 87:567, 2012

2) 高山かおる：皮膚病診療 33:1031, 2011

3) 草場泰典，他：日皮アレルギー会誌 4:5, 1996

4) Rietschel R L, et al:Contact Dermatitis, 6th ed, BC Deker Inc, Hamilton, p658, 2008

5) Avnstorp C:Contact Dermatitis 25:81, 1991

6) Condé-Salazar L, et al:Contact Dermatitis 33:226, 1995

7) Roto P, et al:Contact Dermatitis 34:43, 1996