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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻13号

2016年12月発行

症例報告

難治性皮膚潰瘍をきたした微小動静脈瘻の1例

著者: 田中佳世1 猿田寛1 大畑千佳1 古村南夫1 小野文武2 名嘉眞武国1

所属機関: 1久留米大学医学部皮膚科 2佐曽利医院

ページ範囲:P.1055 - P.1059

文献概要

要約 78歳,女性.50歳時に左人工股関節置換術を施行後,左下肢の短縮を認めていた.2011年より左下腿〜足背部にうっ滞性皮膚炎を合併し,その後足趾〜足背部に潰瘍病変が出現した.当院形成外科で外用療法,植皮術を施行されたが上皮化は得られず難治性皮膚潰瘍として精査・加療目的に当科紹介入院となった.潰瘍部の皮膚生検,臨床検査,各種培養検査,ABI検査,SPP検査で異常は認めず,CTA,DSAにて潰瘍形成部位に一致して動静脈の異常吻合を認め,微小動静脈瘻による難治性皮膚潰瘍と診断した.外科的治療の適応はないと判断し,下肢の安静・挙上を中心とした静脈うっ滞の改善を行ったところ潰瘍部は上皮化を認めた.微小動静脈瘻の原因は不明であることが多く,自験例も原因不明であったが,下肢短縮による歩行障害・筋力低下が静脈うっ滞を増悪させ,難治性皮膚潰瘍を生じたと考えた.

参考文献

1) 本田賢太朗,他:脈管学 46:73, 2006
2) 出月健夫:臨皮 68(増刊):27, 2014
3) 大久保佳子:Visual Dermatol 9:968, 2010
4) Dodd H:Br J Clin Prat 25:19, 1971
5) Haimovici H:J Cardiovasc Surg(Torino) 36:109, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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