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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻13号

2016年12月発行

文献概要

症例報告

Microsporum canisによる白癬性毛瘡の1例

著者: 福島彩乃1 藤尾由美1 木花いづみ1 佐藤友隆2 矢口貴志3

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科 2北里大学北里研究所病院皮膚科 3千葉大学真菌医学研究センター

ページ範囲:P.1089 - P.1093

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要約 43歳,男性.アトピー性皮膚炎で顔にタクロリムス軟膏を外用していた.猫を3匹飼育中.1か月前より右下顎部に膿疱,滲出性痂皮,脱毛を伴う紅色局面が出現した.須毛の直接鏡検で真菌要素を認め,真菌学的検査でMicrosporum canisを同定し,ネコからの感染を疑った.皮疹はテルビナフィンの内服で軽快した.白癬性毛瘡は浅在性白癬からの移行例が多いが,動物からの感染例も報告されており感染経路に注意が必要である.またステロイド外用剤の誤用が誘因となるとされるが,自験例ではタクロリムス軟膏による局所免疫低下が誘因になった可能性が考えられた.1909年からの過去の本症の報告200例のうち,M. canisによる症例は自験例が3例目と非常に稀と思われた.須毛部の脱毛局面では本症を疑い,感染原同定のため積極的に真菌培養を行うことが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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