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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻2号

2016年02月発行

症例報告

びまん性潮紅と毛孔一致性丘疹を特徴としたシアナミド(シアナマイド®)による薬疹の1例

著者: 千田聡子1 古屋亜衣子1 佐藤貴浩1

所属機関: 1防衛医科大学校皮膚科学教室

ページ範囲:P.101 - P.105

文献概要

要約 68歳,男性.アルコール依存症に対してシアナミドを内服.3か月後より前腕に丘疹が出現し次第に全身に拡大したため受診した.ほぼ全身に粃糠様鱗屑を付す潮紅と半米粒大毛孔一致性丘疹が散在し,眉毛外側と腋毛の脱毛を認めた.下腹部の生検病理組織では真皮上層の好酸球を混じるリンパ球浸潤と表皮内の個細胞壊死,さらに毛包周囲の強いリンパ球浸潤と,毛包壁の破壊像が観察された.シアナミドの貼布試験は陽性,DLSTは陰性であった.シアナミドは中止し,ステロイド外用で全身の皮疹は軽快し,2か月後には脱毛も回復した.過去の報告を含め検討したところ,臨床型は落屑性紅斑,扁平苔癬が多いが様々な臨床像を呈すること,好酸球増多を伴うことが多く,貼布試験は高率に陽性だがDLSTは陰性であることが多く,病理組織は苔癬型が多かった.脱毛をきたすことも稀でなく,毛孔一致性丘疹はシアナミドによる薬疹の特徴的所見の1つと考えられた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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