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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻2号

2016年02月発行

症例報告

淡い褐色斑のみを呈しミノサイクリン塩酸塩関連血管炎との鑑別を要した皮膚型結節性多発動脈炎の1例

著者: 松本奈央子1 畑康樹1 菅原万理子2 菅原信2

所属機関: 1済生会横浜市東部病院皮膚科 2横浜西口菅原皮膚科

ページ範囲:P.107 - P.110

文献概要

要約 23歳,男性.近医で尋常性痤瘡に対しミノサイクリン塩酸塩の内服加療を受けていた.初診1か月前より両下肢に自覚症状がなく,浸潤を触れない爪甲大までの淡い褐色斑が出現した.病理組織所見では真皮脂肪織境界部の小型血管に閉塞を伴う壊死性血管炎像を認めた.血液検査所見では血沈は亢進していないもののCRPの軽度上昇を認めた.抗核抗体はspeckledタイプで160倍を示した.MPO-ANCA,PR3-ANCAは陰性であった.ミノサイクリン塩酸塩による薬剤性血管炎も疑われたが,中止後も改善しないため皮膚型結節性多発動脈炎と診断した.本症の皮膚症状は皮下結節,網状皮斑,紫斑,潰瘍,壊疽など多彩であるが,自験例は淡い褐色斑のみで網状皮斑などを呈せず,血管炎の皮膚症状としては非典型的であった.

参考文献

1) 山村昌弘:医学のあゆみ 246:131, 2013
2) 坂井博之,他:アレルギー 51:1573, 2002
3) 川名誠司,陳 科榮:皮膚血管炎,医学書院,p181, 2013
4) 山西裕司:リウマチ科 40:58, 2008
5) Chen KR:J Dermatol 16:429, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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