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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻2号

2016年02月発行

文献概要

症例報告

左側頭部に生じ多彩な組織像を示した毛包脂腺系腫瘍の1例

著者: 的屋真美1 西尾栄一1 堀尾愛1 多田豊曠2 森田明理3

所属機関: 1豊川市民病院皮膚科 2豊川市民病院臨床検査科 3名古屋市立大学大学院医学研究科加齢・環境皮膚科学

ページ範囲:P.138 - P.142

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要約 58歳,男性.30歳台の頃,臨床的に明らかな発生母地のない左側頭部に突然疣状の小結節が多数出現した.50歳頃よりそのうちの1か所が徐々に増大し目立つようになったため受診した.初診時,左側頭部に28×18mm大の表面が潰瘍化した結節とその周囲の3〜4mm大の淡紅色から一部黒色の多数の小結節を認めた.結節部の生検標本で乳頭状汗管囊胞腺腫や脂腺腫など多彩な組織像を認めた.部分的には脂腺癌が疑われたため,同年11月周囲の多発する小結節も一塊として全摘後,左鎖骨部より採皮し全層植皮を行った.全摘した腫瘍は脂腺腫,毛芽腫/毛包上皮腫,乳頭状汗管囊胞腺腫と多彩な毛包脂腺系腫瘍の病理組織像を示し,臨床的には明らかでないものの各種の腫瘍の発生母地としての脂腺母斑の存在を示唆していた.脂腺母斑を発生母地とした付属器系腫瘍の報告は多数みられるが,前述の3種の腫瘍の併発はわれわれの調べえた限りでは自験例のみであった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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