icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科70巻2号

2016年02月発行

文献概要

症例報告

眼窩内に転移した頰部有棘細胞癌の1例

著者: 大竹ひかり1 遠藤雄一郎1 藤澤章弘1 椛島健治1

所属機関: 1京都大学医学部附属病院皮膚科

ページ範囲:P.153 - P.156

文献購入ページに移動
要約 84歳,女性.1年以上前からあった右頰部の結節が徐々に増大したため生検を施行した.有棘細胞癌(squamous cell carcinoma:SCC)と診断し,全摘した.断端は陰性で,画像検査でもリンパ節転移,遠隔転移を認めなかった.2年後,右眼の疼痛を自覚し,画像検査で右眼窩内に腫瘍性病変を認めた.組織学的に右頰部と同様の腫瘍細胞が増殖し,SCCの眼窩内転移と診断した.本症例はstage Ⅰであったにもかかわらず遠隔転移をきたした.また,SCCの転移の多くは所属リンパ節に発生するが,本症例は最初から眼窩内に遠隔転移をきたした.その理由として,まず腫瘍細胞の一部が脂肪組織に至るまで深く浸潤しており,根治切除術を施行した際に所属リンパ節へのリンパ管が切断されて残存していた腫瘍が眼窩内へ逆行性に転移した可能性が考えられた.

参考文献

1) Moller R, et al:Arch Dermatol 115:703, 1979
2) Dinehart SM, Pollack SV:J Am Acad Dermatol 21:241, 1989
3) 石原和之:Skin Cancer 20:234, 2006
4) 山崎直也:癌と化学療法 33:1392, 2006
5) 竹之内辰也,勝海 薫:Skin Cancer 19:359, 2004
6) Gurney B, Newlands C:Br J Oral Maxillofac Surg 52:294, 2014
7) Edge SB, et al(ed):AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed, Springer, New York, 2010
8) Endo Y, et al:ISRN Dermatol 2011:285289, 2011
9) Agnese DM, et al:Arch Otolaryngol Head Neck Surg 133:1121, 2007
10) Vauterin TJ, et al:Head Neck 28:785, 2006
11) 千々和秀記,他:日耳鼻 110:103, 2007
12) 佐藤あかり,他:日皮会誌 113:320, 2003
13) Rauber AA(著), Kopsch Fr(増補), 小川鼎三(訳):人体解剖学,医学書院,p648, 1958

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?